2012/09/11

虐殺器官とアルケミストを読んだ。


今日は帰ってゆっくりしているので、週末に読んだ本の話でもします。

まず、「虐殺器官」。急に混じりっけもなく強烈な名前出してごめんなさい。めったに読まないSF。理系だからSF好き、ということもなく、たまたま本屋であまりにも強烈なタイトルが目に止まったので読んでみました。

出だしからあまりにも強烈な風景の描写。そして「ぼく」の存在。この主人公である「ぼく」は国の暗殺部隊の一員として描かれています。ある感覚を麻痺させて、暗殺に対する感覚を鈍らせる。そのある種の感覚麻痺状態における自我。それがこの本のなかのぼくによって支配されています。主人公は冷静で客観的に描かれていますが、読んでいるとこっちの感覚まで麻痺してくるようです。

話の中で人間とことばの関係について触れられています。これは僕としては興味深く読んでいました。自然言語処理周りのひとが好きそうな話がでてきます。そして脳。医学。大量虐殺を引き起こす仕掛け。もういろんな領域の知識が詰まっていて、どうやったらこんな凄まじい本を書けるのだろうと思えてしまいます。本当に凄まじい本、という印象でした。

前に読んだ半藤さんの「昭和史 1926-1945」において、熱狂という観点から戦争を描いていた場面がありました。なんだかそれを彷彿とさせました。ことばの仕掛け。そんなことが頭の中をよぎって、あっという間に読み終わりました。

Amazon.co.jp: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA): 伊藤 計劃: 本
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もう一冊読みました。「アルケミスト」という本です。これはこれで珍しくこういう類の本を読みました。なんだかもう、純粋という感じです。まっすぐな少年、夢にまっすぐ向かって走って、いろんな人を惹きつけて、という物語です。

でもこの話の中にたくさんのエッセンスが詰まっています。小学生が読んでも楽しいし、大人になって読んでも楽しめる。二度美味しい。そして大人になってから読むと味わい深い、きっとそんな本です。素敵な物語でした。なぜ少年はこうも人を惹きつけられていけたのだろう。1つ1つの出逢いの中でなぜこんなにも前に進めたんだろう。途中でとてもファンタスティックな展開になっていきますが、不思議と魅了されます。

こうやって平易な言葉でたくさんのものを詰められるというのは素敵なことだなぁと思うのです。

Amazon.co.jp: アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア): パウロ コエーリョ,Paulo Coelho,山川 紘矢,山川 亜希子: 本
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B1%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%88%E2%80%95%E5%A4%A2%E3%82%92%E6%97%85%E3%81%97%E3%81%9F%E5%B0%91%E5%B9%B4-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%87%E5%BA%AB%E2%80%95%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%87%E5%BA%AB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A2-%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%AD-%E3%82%B3%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%A7/dp/404275001X

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余談ですが、先週の月曜日に全社朝会でスピーチする機会がありました。ローテーションで回ってくるので、前回は僕の番だったのです。そこで時間に関する話をしました。教える側と、教えられる側の時間の話。今話している目の前の同僚も、たくさんの背景を抱えてここに立っている、という話。祖母の話。一日一日を大切にしましょう、という話。

文章を読む、人の話を聴く、プログラムを読む。なんだかそんな受け手側ばかりになっていると、ありがたみを忘れてしまいそうになります。

逆に、教えてばかり、書いてばかり、伝えてばかりでも、伝えることに鈍感になってしまいます。

そんな当たり前のことなんですが、意外と言われると自意識には存在していないものなのかも知れません。なので、最近は毎日そんなことを1回は思うようにしています。

中途半端な余談でした。