グレイス・ペイリーの「人生のちょっとした煩い」を読みに自転車でオブスキュラに向かっていたら、冬はどこへいったのか秋空で心地よい。帰宅してすぐに打ちっぱなしへ。rebuildの224とEMFMの最新回を聴きながら50球ほど打ってきた。
今年の初チャレンジの1つといえば、ゴルフを始めたことである。父が昔からゴルフをやるので自分も小学生の頃に1,2回打ちっぱなしにつれていってもらったが、結局それっきりやっていなかった。北海道は冬になるとゴルフはできないので雪山でスキーにいくというのもあり、私も部活でサッカーをしていたのでゴルフとの縁はしばらくなかったのである。それがまたよく遊ぶ後輩がゴルフに行こうというのであれよあれよというまに神宮球場裏手の打ちっぱなし場へ連れて行かれ、つい先々週にはちゃんとしたゴルフコースへいって18ホールまわってきたのだ。まさか自分がこの歳になってゴルフをやるとはなあと思いつつ、20年前の記憶ではクラブを振ってもあたらなかったのが案外あたるものだなあと神宮で思ってからは気がつけば毎週練習場へ自転車でふらふらっと向かい、リフレッシュがてら練習するのだからわからないものである。
ゴルフというのはどうやら大変難しそうなスポーツだという印象があったのだけれども、当たると球が飛んでいくのは楽しい。ある物体を物理的に遠くに飛ばすというのはそれだけでなにか面白さがあるようだ。ゴルフ練習場というのは滑稽で、良い年をしてばりばり仕事をされているであろうおじさんも、近所から歩いてきたであろうご老人も、はたまたゴルフサークルに入っているであろうピカピカのゴルフグッズを揃えている女子大生も黙々と同じ方向を向きながら球をひたすらネットに向かって打ち込み続けるのである。球を遠くに飛ばすことで何かを生み出している工場のようにも見えるし、人々が取り憑かれるように球に集中する様が目黒の住宅街にあるというのもまた面白く、気がついたら自分もその中にいたという具合である。
全く新しいものをするというのはこれもrebuildでhigeponさんが「毎月1つ新しいチャレンジをする」ということを話されていて、ああそれはある程度年を重ねてきた自分にも当てはまるなと脳裏のどこかにあり、いろんなタイミングやら気分がはまってやっと始まったものだ。仕事はロジカルで、でも定量的には話せないものが増え、それをあえて数字になおして達成したかしてないかというような自分たちで決めた塩梅を楽しむようなところがある。ゴルフというのは最初から数字が先にあり、道具も多く、技術も必要で、結果がすぐにでるスポーツだ。初めていったラウンド(ゴルフのコースを回ることをラウンドというらしい。つまり回るということだ。こういう単語がゴルフにはたくさんある。エンジニアリングや広告用語もいっしょかもしれない。)では159という数字になった。まずは100を切ろうというのが万人の目標なので、それを超えるしかない。ゴルフでは数字が低いほうがよく、すべてのホールでPar(ホールごとに規定された打数でカップにいれること。)だと72となる。ゴルフに大人のスポーツという印象があるのは、仕事で数字が見えづらいものごとを扱う人たちが余暇に数字で遊びつつ体をリフレッシュさせながら自然(ゴルフ場が自然か?という問いかけには大変疑問があるが、渋谷の道玄坂の繁華街を抜けたビルで過ごしている身としては十分といっていいほど自然である)で長い時間を過ごせるというのは合理的だという点から来ているのだろう。