2020/03/16

増やす仕事、減らす仕事

仕事には増やす仕事と減らす仕事がある。減らす仕事は時間とコストを節約し、余白をつくる。増やす仕事は新たな仕事を増やし、可能性を広げる。

増やす仕事は減らす仕事がなければ成り立たない。時間に空きがなければ考えられず、作れず、生み出せない。減らす仕事は余裕を作り、自動化し、効率を上げる。

増やす仕事は効果が指標になる。効果的でなければやめてよい。増やす仕事は実験的であり、不確実であり、今までにないことを試す。増やす仕事がなければ何もパイが大きくならない。減らす仕事は地味だ。できることは変わらない。今できていることを、もっと簡単にできるようにする。変化を簡単にする。

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一日の仕事を考えるとき、増やす仕事と減らす仕事の割合を考える癖が昔からある。いつからかは忘れてしまった。この仕事は価値を増やす仕事で、こっちは片付けの仕事だと考えていた。増やす仕事に費やす時間を増やさなければエンジニアとしての価値はないと思い、ひたすらにできることを増やした。

次第にシステムの面倒をみていくと、自他問わずつくった機能が期待しない動きになっていたり、変更がしづらくなってくる。溜まったデータも使いづらい。新しい機能を足すには複数箇所を直す必要がある。そうしたものを空いた時間で直す時間が次第に増えていく。既存のものを読み解き、理解し、再構築することはパズル的な興味深さがある。

自らの仕事を振り返るとき、増やす仕事と減らす仕事は2対8程度の割合になってきた。8割が準備である。8割は次の動きを早くするために時間を費やしている。コードを書くだけじゃなく、プロセスを変えたり、ルールを変えたり、やることを自体を減らしたりする。それによって明日の時間を捻出し、ようやく増やす時間にあてる。

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チームを構成する上で、増やす仕事と減らす仕事は個人のなかで回るとよいと考えている。自らの工夫が自らの時間を作り出し、新たな増やす仕事に当てられるようになる。そうすると信頼が集まり、より大きな増やす仕事に踏み出していける。個人個人の単位でこれが回るようになっていると、日々の洞察力があがっていく。

この状態になると、明日はこれを改善しておき、三日後には別部分に時間を投資できる、といった判断につながる。自分の時間を投資する判断を毎日することは、自分の効率を知ることだ。仕事をしていると言って作業をしているだけであるのと、自ら投資効率を考えて増減の何を制御してるのかを見ながら作業するのとでは効率の改善具合が変わってくる。

ここ1ヶ月弱のリモートワーク環境下においては特に、これが個々人で回り続けているかどうかで効率が特に大きく変わってしまっていると感じている。減らす仕事によって生み出された時間で、増やす仕事をするサイクルにはいれているかどうか。今日は何を減らし、何を増やせたか。自分でも改めて振り返る機会になっている。