それまではデータモデリングからはじめ、パーマネントURLをつくり、サーバサイドルーティングをざっくり決め、画面要素を洗い出しつつ便利なツールを重ねていくという進め方をすることが多かった。今では画面要素でできる選択肢が多くあり、サーバサイドにDBを自前でつくらなくてもよくなり、APIも外部APIとの連携のなかでの1パーツとしての役割をうまく見出せばよくなった。工夫の勘所が変わり、UIに集中できるようになり、業務用件をUI主体で実現するスピードがすごくあがった。Webの仕組みでここまでユーザフレンドリーで、あらゆるシステムがWeb基盤の上で作れるなどと30年前には誰も考えられなかったのだろうか。
URLはクライアントサイドのための何かしらのKeyを構造化してもつ要素としての役割が多くなった。少なからず、アプリケーションの系の中において、そこに固有のデータが有るというURIあるいはパーマネントなURLとしての役割は薄れるときもある。
自らアプリケーションを設計するときに、URLの強力さをどう組み込むかというのはWebアプリケーションの設計を始めてからずっと無意識的に中心にあった。しかしながら、UIを作ることからWebアプリケーションに入門すると、決してURLからではなく、純粋に画面から入ってこれるということがわかったのだった。年々、Webアプリケーションを作り始める世代にとって、WebアプリケーションとはリッチなUIであり、画面がすべてリロードされることは稀であり、JSONはサーバを書かなくても飛んでくるものだという傾向が強くなっている。
立ち戻れば、Windowsアプリケーションやネイティブアプリなどと比べて、あえてWebでUIをつくることの大変さを感じることなく、この感覚が成り立つことはとても尊い。そして、せっかくWebブラウザで動くアプリケーションをつくるのだから、Webの力をもっと活かすといいのだという、なにやら逆説的な話をしていく頃合いなのだなあと日々の会話を通して思うのだった。