2012/10/27

美容室での会話

僕は割りと美容室での会話が好きです。大体髪を切りに行くのは休みの日で、大抵どこか楽な気持ちでいるので、会話が弾みます。

今年引っ越してから行きつけだった美容室が遠くなってしまったので、何軒か行っていたのですがどうも馴染まず。しかしやっと最近落ち着いて気軽にいける美容室を見つけました。今日はひさびさに休みらしい休みだったので、そこの美容室にいきました。そこでの話が興味深かったのです。

大抵美容室に行くと仕事の話をします。割りと客層も僕に近いか、若い社会人の方が多いようで、美容師さんはいろいろな業界の話を知っていたりします。気さくな方なのでいろいろな話をしてくれますし、僕もいろいろ話をします。iPad miniとNexus 7とKindleどれがいいんですかねーみたいな話から、そのへんのおいしい飲み屋の話をしたりもします。そんな中で、美容師さんの仕事についての話になりました。エンジニアの海外カンファレンスで参加費2,30万くらいのとかってよくあるんですよ、というような話からのくだりです。

「美容師にも講習があってね、大体高くて5日間で10~15万くらいかな。確かに講習を受けると技術は学べる。けど、実際にお客さんと接している時にそれが使えないとだめなんだよね。そしてその技術はすぐに使えるかって言うと、そうじゃない。お客さんの髪質だったり、頭の形も違うし、その人の雰囲気にあったスタイルにしていかなきゃいけないんだよね。そうやって講師をしてくれる人ってやっぱりすごい人が多いし、実際にすごいんだけど、だからといって講習に行ったからといってその人になれるわけじゃなくて。それよりもこうやって毎日お客さんと接してその人にあったスタイルを自分なりに提供するってことがやっぱり大事なんだよね。」

「そういう意味では毎日がテスト。よく学生の時にテストがやだなぁって言ってたけど、今って毎日が本番なんだよね。今日本番やって、また次の日も本番。だからその日のうちに振り返って、明日の本番に備える。ある意味一番の練習になってるのかもしれないけど、練習っていうかやっぱり全部本番なんだよね。」

まあそうですよね、と言いつつ、やっぱりそういうシビアな環境ってすごいな、と思いました。やっぱりなんだかんだ東京の美容師さんは技術は相対的に見ても高いそうなのですが(ちなみに僕は鈍感なのでそのへんはさっぱりわかりません。)、結局技術があっても自分なりに考えてお客さんにあったもの出さないとだめなんだよね、という話をしました。僕は美容師さんの世界は全然知らないのですが、こう聞いていてやっぱりプロだなあと思うのです。

エンジニアもある意味では毎日本番で。システムは稼働し続けているし、開発も毎日続けている。やっぱりそういう中でサービスのローンチだったりアップデートだったりサーバの移行だったり色々なイベントがあって、そこに向けて淡々とやっていくというスタイルが多いと思います。ただ、なんだか、1日に何人ものお客さんと常に1対1で対応して、毎日それを続けていくというのはすごいことだな、と思ったのです。

最近は毎日仕事にとりかかる時に「何を進めるか」を考え、そして「何が進んだか」を確かめるようにしていました。将来的になりたいエンジニア像が漠然とあって、そこに向かっていくように毎日のタスクをこなしつつ、学ぶ方向性を決めるということを毎日意識するようにしています。でも、毎日が本番という気持ちで向かっていたかと決してそんなことはなくて、かなり波があるというのも事実です。

自分は本当にプロと言い切れるのかな、と感じた時間でした。