2021/05/06

Web24のAdsセッションに登壇します

https://connpass.com/event/211877

Webのことをただひたすら24時間議論しよう!という趣旨の「Web24」に登壇します。僕はAdsのセッションオーナーで、セッションは21:50 - 23:20です。Adsセッションではyamazさん河村さんに登壇をお願いしました。24時間ということで、明日の18:00 - 明後日の18:00までなにかしらのセッションがあります。YouTube Liveで視聴できます。なお、アーカイブは残りません。Liveのみです。

昨今のWebにおけるAds事情はというと、着々とプライバシー保護の動きが進んでいることを耳にされることも多いのではないかと思います。Privacy Sandbox、iOSにおけるATT、はたまた今後IDとどう向き合っていくかという動きは今現在も議論・提案・実証の繰り返しを続けています。またWeb技術を利用してディスプレイが増えるなど、これまでのスマホ・PCに閉じない新たな領域でプログラマティック広告技術が使われるようになりました。

今回のセッションはこうした時代を捉えつつ、WebにおけるAdsについてざっくばらんに話せる場になれば、と思っています。なお、Web24は事前のネタあわせをさけ、台本もない、というアクロバティックな会です。当日どんな展開になるのか僕も楽しみにしています。ぜひご覧ください!

2021/04/26

コードから得られた洞察は、あなたが思っているより多い

あなたがソフトウェアエンジニアで、コードを読んで隅々までプロダクトを把握し、設計の良し悪しもわかっているのだとしたら、それはどんな洞察よりも細かくて正確なはず。

事業を作っていく中で、プロダクトのケイパビリティを増やそうとしたとき、綿密に市場をみて、スコープを決め、ユーザのペインを見て、それを回し続けているチームなら打率はあがっていく。プロダクトが立ち上がって2年ほどはいいが、肌感覚としてそれより長く立ったときにソフトウェアの問題が増えてくる。内部品質の悪化だ。2年もやっているともともと作ろうとしたものではない機能性を増やす場面を重ね、当初いくらきれいに設計したと思っても立ち行かない部分がでてくる。

内部で質の悪いところはソフトウェアエンジニアが一番知っている。書きづらいAPIがあったなら、隣接するインタフェース、あるいはデータへのアクセスが良くないなど、実際に何がどう悪いかというのを知っている。この肌感覚は組織にとってとても貴重だ。未然にこれらを潰すことはどんなときでも難しく、賢い人を集めた小さいチームでも起こりうる。しかしながらこれに気づいたとき、どの程度のリードタイムで違和感を解消するかによってプロダクトチームの加速度が変わる。すぐに直せるチームは2年の壁を超えて伸びていく。そうでないチームはプロダクトマネージャーあるいはソフトウェアエンジニア自身が実現したい機能がでてきても、機能をなかなかリリースできずに衰退していく。

年数を重ねれば重ねるほどこの壁は高くなる。2年で解消できればまだよく、これが5年ものになるともっと高い。複利で高くなる。壁を超えずに作った機能がさらに壁を高くする。さらに高くなった壁を超えるソフトウェアエンジニアを雇うのは、最初に事業を立ち上げるエンジニアを確保するよりも難しくなってしまう。やりがい、スキルセット、難易度など、採用要件を並べると壁を超えるというのは見劣りがちである。自分はこうした仕事を面白いと思うし、いわゆるソフトウェア考古学が好きな人間なのだが、案外こうした仕事は面白くなさそうに外からは見えがちである。コードが読めるソフトウェアエンジニアというのはこうした内部環境及び外部環境からみて、価値が高いと自分も考えている。

コードそれ自体から得られる洞察の重要性は、ソフトウェアエンジニアなら理解していると思う。しかし、案外それ自体がどれくらい個人にとって大事であるという感覚をもっているとしても(たとえばここを倒しておけば次のタスクがスムーズだ、等)、チームやプロダクトにとっても大事だという感覚は小さめであることが多い。自分ごとは問題のサイズがわかりやすいが、他の人のことは感覚が得られないためサイズを小さく見積もりがちである。

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というような話を今日は配属されてきた新卒エンジニアにしたのでした。春だなあ。

2021/03/26

32をこえて

 

人のいない桜の代々木公園(撮影: 2021/03/26)

春の代々木公園はいつも人だかりになっている。いろんな国の人が集まり、運動したり、宴会をしたり、楽器を弾いたりしている。こんなに天気の良いさくらの日に、がらんとした公園を見るなんて。

今月は3週間の長めの休暇(ボーナス休暇という制度がある)をいただいて、家でまったりとプログラムを書いたりしている。気づけば事業のことやチームのこと、その他事業周辺の多くのものごとを考え続けるという生活スタイルがここ10年弱の間に定着していた。テストやモニタリングのこと、本番で動くプロダクトがどういう作用をあたえるか。そういうものごとは刺激的で、常にあたまのなかに常駐している。周りのクルーには手間をかけてしまっているけれど、こういう休みのときばかりはしばしプロセスをkillして、何か他のことに関心をおけるというもの。遊んでみたり本を読んだりしていたものの、結局パソコンに向かってちまちまとプログラムを書いて遊んでいる。なんだ、仕事とやっていることは同じじゃないかと思ってもいるが、案外これが気に入っている。

COVID-19で変わってしまった世界を散歩する時間があるのもいい。よい世界ではない・・し、年々花粉症がひどくなってしまっている。しかしながら考え事をしながら練り歩くのは悪くない。休暇の間は散歩、プログラミング、そしてゲーム(最近はValheimという世界で海賊・・というより建築家として人参を栽培しながら掘っ立て小屋を量産している)をしたりしている。今日からプロ野球のオープン戦も始まるし、オリンピックのリレーもはじまったし(オリンピックはあるのだろうか?)、世の中が動いているのを楽しく見ている。

勉強をする時間というのをとりたいなと思っているときに、時間ができるというのはなかなかない。時間というのは欲しいときになく、暇なときにある。XORはだいたい1だ。なぜか今日このごろはちょうど時間がほしいときに時間がある。COVID-19のおかげで予定が全然ないので、デスクでなにかしらに集中する幸せな時間が増えている。

ともあれ来年にはビール片手に公園で和やかに過ごすのもまた悪くないな、と思っている。いざ64の世界へ。

2021/02/19

「Engineers in VOYAGEー事業をエンジニアリングする技術者たち」のITエンジニア本大賞 2021受賞に寄せて

昨年、「Engineers in VOYAGE」がラムダノートさんから出版されました。名前の通り、VOYAGE GROUPのエンジニアリングについて書かれた本になっています。

Engineers in VOYAGE ― 事業をエンジニアリングする技術者たち

最初この本の企画についてCTOの小賀さんから「和田さんがVOYAGE GROUPのエンジニアにインタビューしてそれをまとめたら面白そうじゃない?」と相談されたのを覚えています。たしか2019年の秋頃。面白そうだけどどう形にするのだろうと思っていたら、あれよという間にラムダノートさんが携わっていただけることになり、おおこれはちゃんとした本になっていくのだなと思いはじめたのが2019年末。そこから章立てなどの本の構成を決め、さてインタビューをしていくか・・となった頃、COVID-19が日本でも感染者がちらほら出始めつつあったのでした。

自分とajiyoshiさんがインタビューを受けたのが2020年1月。初回のインタビューだったのでどうやっていくかというのも探り探りではありましたが、もうここ5,6年ほど和田さんにはコーチについていただけているのもあり、リラックスしてお話しました。それこそポッドキャストの収録のように、一応事前にどんな項目を話そうかというのをGoogle Docsに箇条書きにしていました。リアーキテクチャや技術的に面白い話になるとやはり多めに話してみたり、あるいは事業的になぜそういう判断ができたのかということについて深堀りしていただいたり。開発を加速するためのデプロイ、アーキテクチャ変遷、組織とコードの関連、負債の返却、故障からの復旧を速くするための工夫、フットワークの軽さ、採用に関する考えなどから意思決定の有り様について振り返る時間となりました。

この本が生まれたのは、和田さん、そしてラムダノートの鹿野さんのことばを引き出す力があってこそです。私達は普段「いい感じに」といって細かく言語化せずにチーム内でのやりとりをしてしまいがちです。そしてなぜこれがうまくいっているのかについてもまた、うまく言語化できていませんでした。事業部ごとのインタビュー集といった体裁で話し言葉で語られていきますが、僕たちの生の言葉と、読者のみなさまとをつなぐ抽象をお二人が作ってくれたからこそ、こうして多くの方々に共感や発見をしていただけるようになったのかなと思っています。どうもありがとうございます。

和田さんの昨日のDevelopers Summit 2021 「ITエンジニア本大賞 2021」プレゼン大会の資料にもあるように、この本はとても生々しいです。僕らは実践を通し、日々学び、リスクを選択しながら意思決定を重ねています。あらゆる開発に適用できるメソッドが書かれているわけでもないし、きれいな成功例が書かれているわけでもありません。日々どのような枠組みの問題をどのように解決し、技術者の集団としての振る舞いがどう形成されてきたか。そうした観点から僕らの日々の仕事がこうして紡がれたことを嬉しく思っています。初めてできあがった本を読んでみたときは、中の僕らでも気づかなかった他の事業部の工夫やエピソード、あるいは同僚の審美眼やオーナシップを改めて知り、感心したのでした。また、なぜこうした事業部が独立して生まれてくるのか、そうしたことを中にいながら考える時間にもなりました。

事業をやっているとなかなか思うように策がはまらないことばかりです。うまくいくことはリスクのとり方が小さすぎることが多いです。それはうまくいっているようでうまくいっておらず、事業的に小さな改善にしかなっていないこともしばしばあります。しかしこれをエンジニアリングと重ね合わせると、成果を早く多く出すためのエンジンを改良するための投資がうまくできるようになり、投資機会が連続して作り出せます。この本にはそうしたVOYAGE GROUPの競争力の源泉の1つを生み出す、エンジニアリングの生の現場が詰まっています。

日々まだまだ迷うことも多くありますが、これを励みに引き続き事業に悩んでいきたいと思います。ぜひ読んでみてください。

2021/01/24

2021年に読んだ本

2021年に読んだ本をまとめておく。随時更新。

2020年
2019年
2018年
2017年

最終更新 2021/01/24

  • ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー ブレイディみかこ  (著)
  • あなたのチームは、機能してますか? パトリック・レンシオーニ, 伊豆原弓
  • 独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 Kindle版 読書猿  (著) 
  • Webブラウザセキュリティ ― Webアプリケーションの安全性を支える仕組みを整理する 米内貴志 著