3連休は合宿に行ってきました。新宿から高速バスで、一路河口湖へ。東京よりは少し湿度が低く、さらっとした空気でした。ギターを抱えて河口湖に行くのは大学の時以来です。2泊3日で泊まりに行くというのも久々で、日中は合奏をし、夜は音楽の話をしながらお酒を飲みました。普段はなかなかまとまった時間がとれず、団員と話し時間もろくにとれてなかったので、とてもよい機会となりました。やはり合宿は良いものです。
初日の練習はあまり音が鳴らず、少し不安になりました。指揮の碇山さんと「移動日だからみんな疲れているのかもしれないですね」という話をしつつ、シェヘラザードを弾きました。前の練習から時間が空いてしまうと、なかなか音楽に慣れていくのに時間がかかるものなのかもしれません。僕も先月仕事でパツパツだったこともあり、久々の合奏となりました。
2日目からは作曲家の桑原ゆうさんにも指導していただきました。今回委嘱させていただいた「みずかげ3章」の練習のためです。練習の中では曲の中の素材を、アンサンブルで実際に音を鳴らしながら確かめていきました。水の落ちる音や、曲の中に脈々と流れるものを1つ1つ確認していくことは、改めて曲について考えるよい時間となりました。音程ではなく、響きのイメージが先にあるということは演奏者にとっては弾くことのパラダイムを変えなければなりません。
ギターもマンドリンも撥弦楽器ですから、音の出るタイミングは指やピックから弦をリリースするときに決まります。それに加えて弦に指をセットするときの深さや角度、指の触れ方との関係で出てくる音が変わります。これを意識しないと、あまりに音が軽くなってしまったり、意識の浅い音になってしまいます。曲の中で繊細な音階を弾くときにはこれを特に大切にしなければなりません。マンドリンは特に、弦を叩くように弾くのではなく、置くように弾くことが求められます。慣習のなかにない気づきのある、良い練習となりました。
練習後の夜の懇親会でも普段聴けない話を色々と聴くことができました。はっとしたのは、桑原さんの仰っていた「消費される音楽は違うと思う」ということです。普段だらだらとイヤホンから音楽を聴くということで、僕は音楽を消費してしまっていたのだなと思ったのです。今までそういう感覚になったことはなかったし、新鮮でした。音楽を聴くというのはそれだけで大変なことです。目に見えないものを想像して、どういう構造なのか、どういう意図で作られているのかを考えながら、感じながら聴かなければなりません。
毎年嬉しいことに委嘱作品に触れる機会があり、こうして実際に話ができるということを嬉しく思います。クラシックの演奏会の場合、もう既に話すことの出来ない作曲家の方の曲を取り上げる機会が多いものです。曲を作った経緯やイメージ・音楽に向かう姿勢などなどを聞くことができるだけで、演奏する際に楽譜の先にある何かを考えずにはいられなくなります。深い集中の中から曲が生まれてきた過程を、追体験するように演奏しなければなりません。これは今の音楽を作っていくことの、一つの醍醐味なのだと思います。
本番は8月11日です。場所はティアラこうとう大ホール、開演は14:30です。
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