毎年GWはラ・フォル・ジュルネに行っています。もう今年で10回目だそう。
今日は117でアルゲリッチが出るということで、首を長くして待っておりました。初めてアルゲリッチを生で聴けるというので楽しみにしていました。プログラムは以下のとおりです。
特別追加公演「祝祭の夜」■公演番号:117■公演日時:2014年5月3日(土・祝) 22:15~23:10 開場21:30■会場 :東京国際フォーラム ホールA■出演 :マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)/酒井茜(ピアノ)/ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)/堀米ゆず子(ヴァイオリン)/川本嘉子(ヴィオラ)/ギードゥレ・ディルバナウスカイテ(チェロ)/吉田秀(コントラバス)/ジュリエット・ユレル(フルート)/ラファエル・セヴェール(クラリネット)/安江佐和子(パーカッション) ほか■曲目 :ストラヴィンスキー:春の祭典(2台ピアノ版)サン=サーンス:動物の謝肉祭
http://www.lfj.jp/lfj_2014/news/2014/04/53.html より抜粋
春の祭典は酒井さんとアルゲリッチの2台ピアノ。すさまじい緊張感のなかで始まりました。アルゲリッチが椅子の具合が悪かったのか、最初調整に時間がかかっていて、と思ったらふっと一音目を出し始めました。 ああ、始まった、と思っていたらすぐに春の祭典の世界に引き込まれてしまいました。酒井さんが上パートで、アルゲリッチが下パート。最初は意外だなと思っていたのですが、酒井さんがぐいぐい引っ張っていって、アルゲリッチは低音を確実に決めていっていました。リズムの鋭さや呼吸感が凄まじい緊張感を作っていました。2台のピアノのパートが譜面に書かれているので、譜めくりの多い曲です。僕はあの曲で譜めくり頼まれても大変すぎて、きっと演奏に吸い込まれて、譜面をめくることすらできなくなってしまうと思います・・・。熱演でした。
動物の謝肉祭はすごいアンサンブルによるすごい演奏でした。言葉にならないというか、もうなんというか音楽の楽しさと美しさと、満ち足りてしまうような感情になりました。クレーメルが1stバイオリン、堀米さんが2nd、川本さんがヴィオラで、吉田さんがコントラバス。チェロのディスバナウスカイテさんの演奏は初めて聞いたのですが、ピアノ二人との音の絡みが素晴らしく、最後の余韻でどこか彼方に自分も消えてしまいそうになりました。チェロの弓をそこまで使い切るかというほどにおおらかに丁寧に使って弾いていました。途中惜しい音があったのですが、もう細かいことは気にならないというか、そこに触れるのが勿体無いしそれよりも尊いアンサンブルになっていたように思います。クラリノットのセヴェールさんは途中カッコウでアルゲリッチのピアノの後ろ側に隠れて吹いてみたり、楽しい演奏をされていました。化石でも大活躍でした。大きな鳥籠はフルートのユレルさんの響きが美しく、これまた最後の余韻が綺麗に消えていくのでした。耳の長い登場人物は堀米さんとクレーメルが眼を合わせながら楽しそうに弾いているのをみて、あーアンサンブルはやっぱり良いものだなぁと思うのでした。
それにしてもアルゲリッチの伴奏の和声感と寄り添い方が素晴らしかったです。場を作る演奏というのはまさにこういうものなのかなと・・・。タッチの仕方も独特で、ムラがなく、春の祭典での生贄の儀式の中間で下パートが主テーマを受け継いでffで弾くところなどはピアノでもこんなに太い音が出るのかというくらい表現をしていたと思えば、水族館や白鳥の伴奏のような場面で効果的に夢の空間を作るのです。なんとも表現しがたいですが、ああ、これは魔法なんだなと言う他にありません。