2018年12月24日月曜日

未必のマクベスを読んだ

年の瀬に小説をと手にとったうちの一冊が「未必のマクベス」だ。

平凡な会社員たる優一が重層的にタイ、香港にまたがる高校時代の友人たちとのつながりの延長線に企業内の思惑にかき乱され、マクベスでの「王」に染まる物語だ。いくつもの仕掛けがあり、全体としてとても引き込まれた。

* 鍋島の行く末、伴の着丈さと行動指針、高井の変化。リンファ、リー、由記子、森川、陳といった素晴らしいキャラクターたち。特にリーは物語に重みと広がりをもたせている。
* 東南アジアの都会特有の肌にまとわりつくような夜の描写と怪しさ。何より優一の移り変わり。
* 事件から始まる企業と人間の関わりの紐解きの段階、伴との信頼の描き方。

解説でもあるように、犯罪小説であり恋愛小説であり経済小説でもある。取り上げられている暗号それ自体に関する記述は多くなく、どちらかというと企業が人間を異様に変えてしまうのがこの小説の最も奇妙で面白いところだと感じた。

題名にもあるシェイクスピアの「マクベス」は度々モチーフとして取り上げられる。これがまた小説全体における魔性めいた奇妙さを影から形成している。最初は犯罪小説を読んでいたが、最後は戯曲を読んでいた。


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