2022/03/24

ソフトウェア開発にどのくらいの時間をかけられているか?

「無形資産が経済を支配する: 資本のない資本主義の正体」を読んでいる。その中でGDPの計算のなかでのソフトウェア資産の扱いについての話題がある。

たとえばソフトウェアエンジニアリング職の賃金及びコスト(たとえばIDEの利用費だとか開発機の費用だとかをまとめたもの)をすべて足し合わせるとソフトウェア投資になるのか?というとそうではない。いわゆるICなら9割程度がソフトウェア資産を生み出す活動をしているが、エンジニアリングマネージャーになると5%程度しかソフトウェアそれ自体を生み出す活動をしていない、といったような話がある。

日々の仕事の中で、面接・評価・組織づくり・採用広報といったような直接的なソフトウェア生産活動以外の時間というのはどの程度あるものだろうか?自分はこの3ヶ月採用に8割以上の時間をつかっていた。たとえば事業を直接みているエンジニアリングマネージャーならどの程度の比率が適切だろうか?ICならどうか?といったような疑問が浮かんでくる。

ソフトウェアエンジニアリング組織全体がつくるアウトカムで見るならば、個別の比率云々よりも合計値を高めるべきである。なので例えばICの開発時間比率を高めるための投資というのが成り立つ。これがエンジニアリングマネージャーを雇う動機になりうる。あるいはプロダクト方針を策定するプロセスを効果的かつ効率的にやりたいならプロダクトマネージャーを立てる。たとえば類似プロダクト調査を始めとする外部環境の調査や、機能に対する仮説を立てることは打率向上につながりやすい。ソフトウェアの開発にかける時間の最大化と、効果の最大化をやるというのがもっとも理想的である。

定量化すると落ちてしまう情報もある。そして定量化は避けられがちである。しかしながら組織全体でみるとこれは確実に健全性を図る指標になるなと、投資の視点で思うのであった。