2011/05/15

合わせずに合わせる

今日はレコーディング初日だった。17:30入りで23:00まで。

スタジオで録音するのは初めてのこと。普段家で録音をすると、自分の音が自分の音でないように聴こえる。しかし、今日は自分の耳でいつも聴いている音に限りなく近い音で録音されているように感じた。レコーディングエンジニアってすごい。

マンドリンの音はオンマイクだと録りづらいらしく、音作りが難しいとのことだった。クラシックギターは比較的オンマイクで採音されていたようだ。テイクの後、その場で試聴し、録音のバランスを調整しながら進めていった。レコーディングでは何度も同じ曲を弾くことになるとわかってはいたものの、集中力がうまく持続できず、最後のほうは指のコントロールが思うようにいかなくなってしまった。普段の演奏会のように一度の演奏にすべての集中力を注ぎ込むのではなく、丁寧にバランスを感じながら弾いていくのは新鮮な経験だ。演奏会では目の前にいる方々に向かって弾くので、伝えるイメージをもちやすい。しかし、録音だと聴き手との距離感を見失いやすいように感じた。テイクの後の試聴で、自分たちが聴き手の立場を意識して、何を求められているかを神経を研ぎ澄ませながら感じなければならない。難しいけれど、演奏会本番とはまた違った面白さがあった。

今日演奏して感じたことは、録音においてはどうしても縮こまった演奏になりがちだということだ。音楽の自然な流れや呼吸を感じず、互いに合わせすぎてしまうときがある。ビードが重くなりすぎ、流れがとまってしまう。個人的には演奏会の場であれば、その場の流れに任せる気持ちになりやすいのだが、録音では慎重になりがちだ。合奏というのは不思議なもので、合わせようと意識するとかえって合わなくことが多々あるのだ。いい演奏になるときは、全員のイメージが共有されて、各自がある程度自由に弾いた時だ。そのほうが、なぜか結果的に合うのだ。

明日は9:30にスタジオ入り。集中して演奏したい。